区画整理中の土地を相続したら — 仮換地と清算金、協議書の書き方

八潮市では、いくつかの地区で土地区画整理事業が進んでいます。
親が持っていた土地や家が、この区画整理の区域内にあるというご相談は珍しくありません。
区画整理の区域内の土地は、登記簿に載っている土地と、実際に使っている土地が違うことがあります。
そのため、相続の手続きでも、ふつうの土地にはない確認が必要になります。
この記事では、区画整理の区域内の土地を相続したときに、遺産分割協議書に何を書くか、相続登記はどうするか、清算金は誰が引き継ぐのかを解説します。
この記事でわかること
- 区画整理の区域内の土地で、相続のときに確かめること
- 遺産分割協議書の書き方と、相続登記の進め方
- 清算金を誰が引き継ぐかと、相続税の評価の考え方
区画整理の土地は「従前地」と「仮換地」がある
土地区画整理事業とは、道路や公園を整えながら、土地の区画を形の良いものに組み直す事業です。
事業が進むと、もとの土地のかわりに、別の場所や形の土地を使うことになります。
このときに出てくる言葉が、次の3つです。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 従前地(じゅうぜんち) | 区画整理の前からある、もとの土地。登記簿に載っているのはこの土地 |
| 仮換地(かりかんち) | 工事の途中に、もとの土地のかわりに使えるよう指定された土地 |
| 換地(かんち) | 事業の最後(換地処分)で、正式にもとの土地と入れかわる土地 |
仮換地が指定されると、もとの土地のかわりに、仮換地を使ったり建物を建てたりできるようになります。
ただし、正式に入れかわるのは換地処分のときなので、それまでは登記簿の上では、もとの土地(従前地)のままです。
親の家が建っている場所が仮換地で、登記簿の地番は別の場所の土地、ということも起こります。
相続のときに、まず確かめること
区画整理の区域内の土地を相続したら、最初に次のことを確かめておくと、そのあとの手続きが進めやすくなります。
- どの区画整理事業の区域か(施行者は市か、県か、組合か)
- 仮換地が指定されているか、使い始めてよい状態か
- 従前地の地番と、仮換地の街区・画地の番号
- 換地処分がいつごろの予定か
- 清算金がかかりそうか
これらは、事業を行っている施行者の窓口で教えてもらえます。
仮換地の位置や面積を示す仮換地証明書も、施行者で取ることができます。
固定資産税の納税通知書に、仮換地の表示が書かれていることもあるので、手元の書類もあわせて見てみてください。
遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書には、登記簿に載っている従前地を書きます。
相続登記は従前地について行うので、登記簿のとおりに、所在・地番・地目・地積を写します。
そのうえで、どの土地のことか、相続人の誰が見てもわかるように、仮換地の表示を添えておくと安心です。
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 従前地(登記簿のとおり) | 所在 八潮市大字○○、地番 ○○番○、地目 宅地、地積 ○○㎡ |
| 仮換地の表示(添える) | ○○土地区画整理事業 ○街区○画地 |
| 清算金の扱い | 換地処分のときの清算金は、この土地を取得する○○が支払い、または受け取る |
最後の清算金の一文は、法律で必ず書くものではありません。
ただ、何年も先に清算金の話が来たとき、誰が払うのか、誰が受け取るのかで、相続人どうしがもめないための備えになります。
話し合いの流れから協議書の作成までは「遺産分割協議の進め方」で解説しています。
相続登記は従前地で行う
仮換地が指定されていても、相続登記は登記簿の従前地について行います。
相続登記は、相続を知ってから3年以内の申請が義務になっているので、換地処分を待たずに進めておきましょう。
換地処分が行われると、施行者がまとめて、換地についての登記をします。
相続人が自分で、換地の登記を申請する必要はありません。
ただし、換地処分の公告があってから、施行者の登記が終わるまでの間は、区域内の土地について、ほかの登記がほぼできなくなります。
換地処分が近い地区では、相続登記の時期を早めに決めておくことが大切です。
相続登記の流れや費用は「相続した土地・家の名義変更(相続登記)」をご覧ください。
清算金は誰が引き継ぐ?
区画整理では、もとの土地と、新しい土地の価値に差が出ることがあります。
この差を、お金で調整するのが清算金です。
土地によって、施行者に支払う場合と、施行者から受け取る場合があります。
清算金は、事業の最後の換地処分のあとに決まり、支払いや受け取りが行われます。
親が亡くなったあとに換地処分があれば、清算金の支払いや受け取りは、土地を相続した人が引き継ぐことになります。
清算金の額は、地区や土地によって大きく違い、事業が終わるまで正確にはわかりません。
相続の段階では、見込みを施行者の窓口で聞いておき、遺産分割協議書で誰が引き継ぐかを決めておくのが現実的です。
相続税の評価は、仮換地で考えるのが原則
区画整理の区域内の土地の相続税の評価は、仮換地が指定されていれば、原則として仮換地の価額で考えます。
工事の進み具合や、清算金の見込みによって評価が変わることもあります。
相続税がかかりそうなときは、税理士に評価を確かめてもらってください。
相続税がかかるかどうかの目安は「相続税がかかるかの目安」で解説しています。
相続した区画整理の土地を、売る・建てるときは
相続した土地を売るときは、事業がどの段階まで進んでいるかで、売りやすさが変わります。
仮換地が指定され、使い始めてよい状態であれば、ふつうの土地に近い形で売れることが多いといえます。
売るタイミングの考え方は「区画整理地域内の不動産、売却のベストタイミングとは」で解説しています。
また、区画整理の区域内で家を建てたり建て替えたりするときは、換地処分までの間、施行者の許可(土地区画整理法76条の許可)が必要です。
相続した家を建て替えたいときも、まず施行者の窓口に相談してください。
現場からの一言
不動産の仕事では、相続した土地の地番を登記簿で調べたら、実際の家の場所とまったく違ったということがあります。
区画整理の区域内では、これは珍しいことではありません。
協議書に従前地と仮換地の両方を書いておくと、売るときにも話が早く進みます。
八潮市で区画整理の区域内の土地を相続した方へ
八潮市では、市が施行する鶴ケ曽根・二丁目、大瀬古新田、八潮南部東一体型、西袋上馬場などの事業と、埼玉県が施行する八潮南部西一体型の事業が進んでいます。
市が施行する地区は、八潮市役所 区画整理課 換地担当(048-996-3937)が窓口です。
八潮南部西一体型は埼玉県の施行なので、埼玉県の新都市建設事務所に問い合わせます。
仮換地証明書などは、事前に電話で連絡すれば郵送でも請求できます。
八潮市内の土地の相場の目安は「八潮の相続した土地・家の相場」でも紹介しています。
草加市の方は「草加市の相続相談」、越谷市の方は「越谷市の相続相談」もご覧ください。
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まとめ:区画整理の土地は、従前地と仮換地をセットで考える
- 登記簿に載っているのは従前地、実際に使うのは仮換地
- 遺産分割協議書には従前地を登記簿のとおり書き、仮換地の表示を添える
- 相続登記は従前地で行い、換地処分を待たずに進める
- 清算金は、換地処分のときの所有者が支払い、受け取る。協議書で誰が引き継ぐか決めておく
- 相続税の評価は、仮換地が原則。税理士に確かめる
区画整理の区域内の土地は、言葉がむずかしく、後回しにされがちです。
まずは施行者の窓口で、仮換地と事業の進み具合を確かめるところから始めてみてください。
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区画整理の区域内で家や土地を買う方向けの注意点は、三共コスモスのブログ「区画整理の区域内で家・土地を買うとき」でまとめています。
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