遺産分割協議の進め方|話し合いの流れから協議書の作成まで解説

相続人調査、相続財産調査が終わったら、相続人全員で財産について話し合います。

誰が・どの財産を・どれくらい引き継ぐのか。

この話し合いがまとまらなければ、故人の銀行預金を引き出すことも、不動産の名義を変更することもできません。

本記事では、遺産分割の基本的なルールから、財産の分け方、遺産分割協議書の作成方法までを、全体像でなるべく分かりやすく解説します。

遺産分割の基本ルールと時期

 

遺産分割の意義

相続が発生したときに相続人が複数名いる場合は、故人の財産は、一旦は相続人の共有状態になります。(共同相続)

相続財産に対してそれぞれ法定相続分に応じた共有持分を持ち、遺産分割協議を行うことで、相続財産を分割することができます。

 

遺産分割協議の開始時期

いつから協議を始めるかについては、特に制限はありません。

故人への配慮、また相続人間の無用なトラブルを避けるためにも、早くても1ヶ月または四十九日を過ぎてから開始するのが良いと思います。

遺産分割の基準と法定相続分

遺産分割は、その財産の種類や性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮する旨が定められています。

上記を念頭に置き、法定相続分を参考にして相続財産の割合を決めるのが一般的です。

法定相続分はあくまで目安なので、相続人全員が納得して合意さえできれば、ご家庭の事情に合わせて自由に分けることができます。

遺産分割の3つの方法

相続財産が預貯金だけであれば簡単に分けられますが、不動産などの現物が含まれる場合は、以下の3つの方法から分け方を選びます。 

現物分割

「長男が実家を、次男が預金を相続する」というように、財産をそのままの形で引き継ぐ方法です。

 

換価分割

不動産等を売却して現金化して、そのお金を相続人で分ける方法です。

公平に分けられますが、不動産等の売却活動が必要になります。

『相続人全員が相続を希望しない不動産が存在する場合』

『相続人の一人は相続したいが、他の相続人に対して金銭の支払いが困難な場合』

上記のケースでは、換価分割を利用します。

 

代償分割

相続人の1人が不動産等の現物を取得し、その代わりに他の相続人に対して代金を支払う方法です。

『当該不動産を必要している相続人が、代償金を支払ってでも確保したい場合』に利用されるのが一般的です。

遺産分割協議書

相続人全員の話し合いがまとまったら、その内容を『遺産分割協議書』という書面にします。

 

遺産分割協議書の作成理由

主に以下のような理由から、遺産分割協議書を作成します。

  • 遺産分割協議が成立したことを証明するため
  • 不動産登記申請の原因照明として
  • 相続税申告の添付書面として

また、遺産分割協議書があると、その後の預金等の手続きの際に必要な手間・負担が少しラクになります。

 

記載事項

特に定められた書式はありませんが、以下の内容を記載します。

  • 故人の氏名、死亡年月日
  • 故人の本籍(最後の本籍)
  • 故人の住所(最後の住所)
  • 遺産分割協議が成立した旨の記載
  • 相続財産
  • 相続財産を承継する相続人
  • 相続人が合意した旨の記載
  • 遺産分割協議の成立日
  • 相続人の住所
  • 相続人の署名・押印

①から順に解説していきます。

 

故人の情報を記載

協議書の冒頭には、表題と、①~③の故人の情報を戸籍謄本等に従って記載します。

例:表題と故人の情報

遺産分割協議書

本籍:埼玉県八潮市中央〇丁目〇番地〇

最後の住所:埼玉県八潮市八潮〇丁目〇番地〇

被相続人:八潮A夫(令和〇年〇月〇日死亡)

 

遺産分割協議が成立した旨の記載

次に、④遺産分割協議が成立した旨を記載します。

記載例:妻、長男、長女が相続

八潮B美(以下「甲」という。)、八潮C郎(以下「乙」という。)および八潮D子(以下「丙」という。)は、被相続人の遺産について、本日、遺産分割協議を行い、本書のとおり合意した。

 

相続財産および承継する相続人の記載

続いて、⑤相続財産の種類や内容、⑥その財産を承継する相続人について記載します。

記載例:妻、長男、長女が不動産を相続

甲・乙および丙は、次の不動産を、甲が2分の1、乙および丙が各4分の1の割合で取得する。

(土地)

所在 八潮市八潮〇丁目

地番 〇番地〇

地目 宅地

地積 100㎡

(建物)

所在 八潮市八潮〇丁目〇番地〇

家屋番号 〇番〇

種類 居宅

構造 木造2階建

床面積 1階50㎡ 2階45㎡

 

不動産の場合は、土地・建物の登記簿謄本(全部事項証明書)中の該当箇所をそのまま記載しましょう。

 

後日判明した財産の取扱いについての記載

のちの紛争防止のため、後日新たな遺産が発見された際の取り決めについても明記しておきましょう。

記載例:再度協議を行う

本協議書に記載のない財産及び後日判明した財産については、相続人全員がその財産について、あらためて協議を行うものとする。

 

上記の例は再度協議を行う旨の文章です。

その他、相続人の一人がすべてを相続すること、法定相続分に従い相続することも可能です。

 

相続人が合意した旨の記載

最後に、⑦相続人がその内容で合意した旨、⑧遺産分割協議の成立日を記載します。

記載例:⑦~⑩

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を3通作成し、署名押印のうえ、各1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

【甲(八潮B美)】

住所: 埼玉県八潮市八潮〇丁目〇番地〇

氏名: 八潮 B美    ㊞

【乙(八潮C郎)】

住所: 埼玉県草加市吉町〇丁目〇番〇

氏名: 八潮 C郎    ㊞

【丙(八潮D子)】

住所: 埼玉県春日部市大畑〇番地〇

氏名: 八潮 D子    ㊞

 

住所は印鑑証明書に記載のある通り記載します。

氏名は自署し、実印で押印しましょう。

 

割印と契印

遺産分割協議書には、割印および契印を押印することが一般的です。

契印は、協議書が2枚以上になる場合に、前後の文書を跨ぐ形で押印します。

ページ数が多いときは、製本した後に表または裏表紙の製本テープを跨ぐ形で押印することで負担を減らせます。

割印は、すべての相続人の分の協議書をずらして重ね合わせて、すべての協議書を跨ぐ形で押印します。

相続人全員の押印が完了したら、協議書は完成です。

まとめ

遺産分割協議の全体像について解説しました。

上記の例は、夫名義の不動産を妻と2人の子供で法定相続分通りに相続する旨の遺産分割協議内容のものです。

実際には、その他に預貯金、有価証券、自動車などの財産があるケースや、行方不明や外国に居住している相続人といったイレギュラーも考えられます。

当事務所では、財産調査から遺産分割協議書の作成、不動産の活用等までを1つの窓口で一貫してサポートいたします。

まずは現状の整理から、お気軽にご相談ください。

 

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