再建築不可の家を相続したら — 売れる?どうする? 確かめ方と4つの選択肢

相続した実家を売ろうとして不動産会社に相談したところ、建て替えができない「再建築不可」の家だとわかることがあります。
古くからの住宅地では、細い路地の奥の家や、通路の幅が足りない家が少なくありません。
再建築不可の家は、買い手が限られるため、普通の家より売りにくく、価格も低くなります。
一方で、売れないわけではなく、相続のしかたや手放し方を考えれば、困らずに済むことも多いです。
この記事では、再建築不可の家を相続したときに確かめることと、売る・持ち続ける・手放す方法の違いを、不動産の仕事を13年続けてきた行政書士の立場から解説します。
この記事でわかること
- 再建築不可かどうかの確かめ方
- 遺産分割で、再建築不可の家を共有にしないほうがよい理由
- 売る・持ち続ける・国に引き取ってもらう方法の違いと注意点
再建築不可とは
家を建てる土地は、原則として、幅4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上接していなければなりません。
これを「接道義務」といいます。
接道義務を満たしていない土地では、今の家を壊すと、新しい家を建てることができません。
こうした土地や家を「再建築不可」といいます。
今の家は、接道義務ができる前や、ルールが今と違った時代に建てられたものです。
そのため、住み続けることも、売ることも、貸すこともできます。
できないのは、壊して建て直すことです。
再建築不可になりやすい家
- 道路から細い通路が延びた奥にあり、通路の幅が2mない家(旗竿地)
- 前の道が、建築基準法上の道路として扱われていない家
- 道路に接しておらず、ほかの人の土地を通って出入りしている家
見た目は普通の家でも、測ってみると通路の幅が1.8mしかなかった、ということもあります。
再建築不可かどうかの確かめ方
再建築不可かどうかは、次の資料と窓口で確かめます。
| 確かめること | 資料・窓口 |
|---|---|
| 前の道が建築基準法上の道路か | 市役所の建築の担当窓口(道路の種類を教えてもらえる) |
| 道路に何m接しているか | 法務局の地積測量図・公図。なければ実際に測る |
| 家を建てたときの記録 | 市役所の建築計画概要書、家に残っている建築確認の書類 |
相続した家の場所や地番は、固定資産税の納税通知書や、法務局の登記事項証明書で確かめられます。
ご自身で調べるのが難しい場合は、売却の査定を頼んだ不動産会社に調べてもらうこともできます。
なお、接道義務を満たしていなくても、周りに広い空き地があるなど一定の条件に合えば、建て替えの許可を受けられることがあります(建築基準法43条2項)。
再建築不可と言われた場合でも、市役所に相談してみる価値はあります。
遺産分割で気をつけること
共有にしないほうがよい
再建築不可の家は、ほしいという相続人がいないことが多く、とりあえず兄弟で共有にしておく、という分け方になりがちです。
しかし、共有の家は、売るときに共有者全員の同意が必要です。
再建築不可の家は、もともと買い手が限られるうえに、共有者の誰か一人が反対したり、連絡が取れなくなったりすると、売ることができなくなります。
さらに相続が重なると、共有者がどんどん増えていきます。
共有名義の不動産の注意点は「共有名義の不動産を相続したら」で解説しています。
売ってお金で分ける方法もある
誰も住む予定がないなら、相続人の一人が代表して相続し、売ったお金を分ける方法(換価分割)があります。
遺産分割協議書に、売ったお金を誰にどの割合で分けるかを書いておけば、手続きが一人で進められます。
価格の見方で、もめることがある
再建築不可の家は、固定資産税の評価額や、周りの土地の相場どおりの価格では売れないことがほとんどです。
評価額をもとに分け方を決めると、家を受け取った人が損をしたと感じ、あとでもめる原因になります。
分け方を決める前に、不動産会社に、実際に売れる価格の目安を聞いておくと安心です。
相続したあとの4つの選択肢
再建築不可の家を相続したあとの選択肢は、主に次の4つです。
| 選択肢 | 向いている場合 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売る | 住む予定がない | 買い手が限られ、価格は低め。売り方を選ぶことが大切 |
| 住む・貸す | 家がまだ使える | 大きなリフォームがしにくい。管理と固定資産税が続く |
| 国に引き取ってもらう | 売れず、持ち続けたくない | 家を壊して更地にする必要がある。費用がかかる |
| 相続放棄する | 借金が多いなど、相続そのものをしない | 家だけを放棄することはできない |
売る
再建築不可の家でも、売ることはできます。
買い手になるのは、お隣の土地の持ち主、今の家をリフォームして住みたい人、不動産会社などです。
お隣の方にとっては、土地を買い足すことで敷地が広くなり、お隣の土地と一緒になれば建て替えができるようになることもあります。
不動産会社に直接買い取ってもらう方法なら、買い手を探す期間がなく、家に荷物が残ったままでも手放せます。
売り方の選び方は、グループの三共コスモスのブログ「住宅ローンが組みにくい土地は、どう手放す?」でくわしく解説しています。
住む・貸す
家がまだ使えるなら、相続人が住んだり、人に貸したりすることもできます。
ただし、2025年4月の建築基準法の改正で、木造2階建ての家などは、柱や屋根などを大きく直すリフォームにも建築確認が必要になりました。
再建築不可の家は、大きなリフォームがしにくくなったとされています。
相続した家を貸すときの注意点は「相続した家を貸すときの注意点」で解説しています。
国に引き取ってもらう(相続土地国庫帰属制度)
相続した土地を、一定の条件のもとで国に引き取ってもらう制度があります。
ただし、建物がある土地は申請できないため、家を壊して更地にする必要があります。
審査の手数料と、10年分の管理費にあたる負担金もかかります。
家を壊すと、その土地には二度と家を建てられません。
国に引き取ってもらう前に、お隣への売却や買取で手放せないかを、先に確かめておきましょう。
制度のくわしい条件は「相続土地国庫帰属制度とは」で解説しています。
相続放棄する
相続放棄をすると、再建築不可の家を相続しなくて済みます。
ただし、相続放棄は、預貯金などほかの財産もすべて受け取れなくなる手続きです。
家だけを放棄することはできません。
相続放棄は、相続があったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てます。
くわしくは「相続放棄とは」をご覧ください。
現場からの一言
不動産の仕事をしていると、相続した実家の売却を考えた段階で、はじめて再建築不可だとわかる場面に何度も出会います。
再建築不可の家は、解体してしまうと土地の使い道がさらに限られるため、「とりあえず更地に」はおすすめしません。
家が建ったままの状態で、売り方と分け方を一緒に考えるのが、いちばん損をしない進め方です。
解体の前に、空き家の3,000万円特例も確かめる
亡くなった親が一人で住んでいた古い家を売るときは、売れた利益から最大3,000万円を差し引ける特例(空き家の3,000万円特例)が使えることがあります。
この特例は、家を耐震改修するか、取り壊して売ることが条件のひとつです。
2024年からは、売ったあとに、翌年2月15日までに耐震改修や取り壊しをした場合も対象になりました。
再建築不可の家では、取り壊すと土地の価値が大きく下がるため、特例を使うために解体するかどうかは慎重に考える必要があります。
特例の条件と手続きは「相続した空き家を売るときの3,000万円特例」で、相続した空き家の期限は「相続した空き家の3つの期限」で解説しています。
税額の計算は、税理士にご相談ください。
再建築不可でも、相続登記は必要
再建築不可の家でも、相続登記の義務は普通の家と同じです。
相続を知ってから3年以内に、相続登記をしなければなりません。
売るにしても、国に引き取ってもらうにしても、まず相続人の名義に変えておくことが出発点になります。
八潮市・草加市で再建築不可の家を相続した場合
八潮市や草加市の古くからの住宅地には、細い道や旗竿地、私道に面した家も見られます。
道路の種類は、八潮市・草加市とも、市役所の建築の担当窓口で確かめられます。
南出行政書士事務所は八潮市にあり、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成とあわせて、相続した家の売却のご相談もグループの不動産会社と一緒にお受けしています。
草加市の方は「草加市の相続相談」、越谷市の方は「越谷市の相続相談」もご覧ください。
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相続の手続き、まとめてお任せいただけます
戸籍集めから財産の調査、遺産分割協議書の作成まで、行政書士がまとめてお引き受けします。相続登記は提携の司法書士と連携し、相続した家や土地のご相談も同じ窓口でお受けします。
初回のご相談は無料です(9:00〜19:00・水曜定休)。
まとめ:再建築不可の家は、壊す前に売り方と分け方を考える
- 再建築不可は、今の家を壊すと建て直せない家。住む・売る・貸すことはできる
- 再建築不可かどうかは、市役所で道路の種類を、法務局で測量図や公図を確かめる
- 遺産分割では共有を避け、売ってお金で分ける方法も考える
- 国に引き取ってもらうには解体が必要で、相続放棄は家だけを放棄できない
- 解体すると土地の使い道がさらに限られるため、まずは家が建ったまま相談する
再建築不可の家は、相続のしかたと手放し方を一緒に考えることで、相続人の負担を小さくできます。
売れるかどうかを決めつけず、まずは確かめるところから始めましょう。
南出行政書士事務所では、相続人調査(戸籍の収集)から遺産分割協議書の作成まで、相続の手続きをまとめてお手伝いする「相続手続きサポート」をご用意しています。
相続した家の売却のご相談も、グループの不動産会社と一緒に同じ窓口で対応できます。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
あわせて読みたい:相続した実家を売る前にやること — 遺産分割協議書から売却までの流れ
あわせて読みたい:共有名義の不動産を相続したら — 売るには全員の同意が必要
あわせて読みたい:相続土地国庫帰属制度とは — いらない土地を国に引き取ってもらう条件と費用
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