相続した空き家の3つの期限 — 相続登記・3,000万円控除・固定資産税

親が亡くなったあと、実家に住む人がいないまま、何年かたってしまうことがあります。
売るか貸すか、兄弟で話がまとまらない、片付けに手が回らないなど、事情はさまざまです。
方針が決まらないうちは、急いで何かをする必要はないように思えます。
しかし、相続した空き家には、知らないうちに過ぎてしまう期限があります。
しかも、そのうち2つは2027年に集中しています。
この記事では、相続した空き家で気をつけたい3つの期限と、期限から逆算した進め方を解説します。
この記事でわかること
- 相続した空き家で気をつけたい3つの期限
- 亡くなった年ごとに変わる、3,000万円控除の売却期限
- 方針が決まるまでの間に、やっておきたいこと
相続した空き家の3つの期限
まずは全体を表で確認しましょう。
| 期限 | いつまで | 過ぎるとどうなる |
|---|---|---|
| ① 相続登記 | 相続を知った日から3年以内。2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで | 10万円以下の過料の対象。売却の準備にも時間がかかる |
| ② 3,000万円の特別控除 | 相続から3年後の年の12月31日まで。制度自体の期限は2027年12月31日の売却まで | 売って利益が出たときの税金が大きく増える |
| ③ 固定資産税 | 毎年1月1日の状態で、その年の税額が決まる | 管理不全空家として勧告を受けると、土地の軽減が外れることがある |
①と②は日付が決まった期限です。
③は日付の決まった期限ではありませんが、空き家の状態によって毎年の負担が変わります。
それぞれ順番に見ていきます。
① 相続登記 — 2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで
2024年4月1日から、相続した不動産の名義変更(相続登記)が義務になりました。
期限は、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内です。
注意したいのは、義務化より前の相続も対象になることです。
何年も前に親が亡くなり、実家の名義が親のままになっている場合は、2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。
空き家の場合に特に困ること
名義が亡くなった方のままでは、空き家を売ることも、貸すこともできません。
相続登記の前には、相続人全員で遺産分割協議をして、誰が家を相続するかを決めておく必要があります。
相続人の中に連絡が取りにくい人がいると、話し合いだけで何か月もかかることがあります。
2027年3月31日まで、すでに半年を切っています。まだ手を付けていない場合は、早めに動き出しましょう。
話し合いがまとまらないときは、相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」で、ひとまず義務を果たすこともできます。
ただし、相続人申告登記をしても名義は変わらないため、売却や賃貸はできません。
相続登記の流れは「相続した土地・家の名義変更(相続登記)」で解説しています。
② 3,000万円の特別控除 — 亡くなった年で期限が変わる
相続した実家を売って利益が出た場合、一定の条件を満たすと、利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。
相続人が3人以上いる場合は、1人あたり2,000万円までです。
この特例には、2つの期限があります。
- 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 制度自体の期限として、2027年12月31日までに売ること
亡くなった年ごとに、売却の期限をまとめると次のとおりです。
| 亡くなった年 | 売却の期限 |
|---|---|
| 2023年 | 2026年12月31日 |
| 2024年 | 2027年12月31日 |
| 2025年 | 2027年12月31日(制度の期限が先に来る) |
| 2026年 | 2027年12月31日(制度の期限が先に来る) |
2023年に亡くなった方の実家は、2026年12月31日が期限です。
2025年以降に亡くなった方は、本来3年ある期間が、制度の期限によって短くなっています。
制度が延長されるかどうかは、毎年の税制改正で決まります。
空き家のまま保つことが条件の1つ
この特例は、昭和56年5月31日以前に建てられた家で、亡くなった方が1人で住んでいたことなどが条件です。
さらに、相続したあとに人に貸したり、自分で住んだりすると使えません。
売るか貸すか迷っている間に、とりあえず貸してしまうと、あとで売るときにこの特例が使えなくなります。
方針が決まるまでは、空き家のまま良い状態を保っておくことが、選択肢を残すことにつながります。
税額の計算や申告は税理士の業務です。
特例が使えそうかどうかの確認や、売却までの段取りは、当事務所でもご相談いただけます。
三共コスモスのページ「相続空き家の3,000万円控除を賢く使う方法」では、買取の場合の使い方も紹介しています。
③ 固定資産税 — 毎年1月1日の状態で決まる
家が建っている土地は、住宅用地として固定資産税が軽くなっています。
土地の広さ200㎡までの部分は、税額の計算のもとになる価格が6分の1に下がる仕組みです。
2023年12月の法改正で、窓や外壁が壊れたままになっているなど、管理が行き届いていない空き家は「管理不全空家」として、市区町村から指導や勧告を受けるようになりました。
勧告を受けると、この住宅用地の軽減が外れることがあります。
その場合、土地の固定資産税が数倍になることもあります。
固定資産税は、毎年1月1日の状態でその年の税額が決まります。
年内に勧告を受けたまま年を越すと、翌年度の税額から影響が出ることになります。
空き家の区分や、市区町村からの指導の流れは「八潮市の空き家対策コラム」でくわしく紹介しています。
庭木と郵便受けが最初のサイン
空き家の傷みは、外から見えるところから始まります。
伸びた庭木が隣にはみ出す、郵便受けからチラシがあふれる、雨どいが外れたままになるなどです。
近所の方から市役所に連絡が入り、指導のきっかけになることもあります。
月に1回でも窓を開けて風を通し、水道を流し、庭と外回りを確認しておけば、多くは防げます。
見回りで見るところは、無料の「相続した実家の空き家チェックシート」にまとめています。
期限から逆算すると、2027年が山場です
3つの期限を並べると、2027年に重なっていることがわかります。
たとえば、2024年に母が亡くなり、母の名義だった実家が空き家になった場合を考えてみます。
相続登記の期限は、相続を知った日から3年なので、2027年中にやってきます。
3,000万円控除を使って売るなら、2027年12月31日までに売却を終える必要があります。
2024年4月より前に亡くなった方の家なら、相続登記の期限はさらに早い2027年3月31日です。
売却には、相続登記のあと、買主探しから引き渡しまで数か月かかるのが一般的です。
遺産分割協議に時間がかかることも考えると、2027年の春までには方針を決めておきたいところです。
方針が決まるまでにやっておきたいこと
- 登記簿を取って、実家の名義が誰になっているかを確認する
- 相続人が誰なのかを戸籍で確定し、話し合いを始める
- 建てられた年を確認し、3,000万円控除が使えそうかを見ておく
- 空き家の見回りを続け、管理不全空家にならないようにする
- 売る・貸す・持っておくの比較をしておく
5の比較には、無料の「売る・貸す・残す 10年比較シミュレーター」も使えます。
現場からの一言
実家の売却のご相談で登記簿を取ると、名義が祖父母のままになっていることは珍しくありません。
その場合は相続人が増えていて、全員の署名と印鑑をそろえるだけで半年以上かかることもあります。
買主が見つかっていても、名義が整わないと引き渡しはできません。
空き家のことを考え始めたら、まず登記簿の名義を確認しておくことをおすすめします。
八潮市・草加市の空き家の場合
八潮市・草加市・三郷市にある不動産の登記は、さいたま地方法務局 草加出張所が管轄しています。
3,000万円控除を使うときに必要な「被相続人居住用家屋等確認書」は、空き家のある市区町村に申請して発行してもらいます。
遠方にお住まいで見回りが難しい方のために、八潮市・草加市の空き家は、月1回の巡回と写真付きの報告をお引き受けしています(グループの三共コスモスが担当)。
内容は「空き家管理サポート」をご覧ください。
草加市の方は「草加市の相続相談」もご覧ください。
行政書士にまとめて頼む
相続の手続き、まとめてお任せいただけます
戸籍集めから財産の調査、遺産分割協議書の作成まで、行政書士がまとめてお引き受けします。相続登記は提携の司法書士と連携し、相続した家や土地のご相談も同じ窓口でお受けします。
初回のご相談は無料です(9:00〜19:00・水曜定休)。
まとめ:期限を知っておけば、決めるまでの時間を有効に使えます
- 相続登記は相続を知った日から3年以内。2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで
- 3,000万円控除は相続から3年後の年末までの売却が対象。制度の期限は2027年12月31日
- 2023年に亡くなった方の実家は、3,000万円控除の売却期限が2026年12月31日
- 相続したあとに貸したり住んだりすると、3,000万円控除は使えない
- 固定資産税は毎年1月1日の状態で決まる。管理不全空家の勧告を受けると、土地の軽減が外れることがある
売るか貸すかをすぐに決められなくても、期限を知っておけば、決めるまでの時間を有効に使えます。
名義の確認や相続人の話し合いは、方針が決まる前から進めておけます。
南出行政書士事務所では、相続人調査(戸籍の収集)から遺産分割協議書の作成まで、相続の手続きをまとめてお手伝いする「相続手続きサポート」をご用意しています。
宅地建物取引士として13年の実務経験もあり、空き家の管理から売却・賃貸のご相談まで、同じ窓口で対応できます。
まだ何も決まっていない段階でも構いません。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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