太陽光発電を相続したら — 名義変更の届出と売電先の手続き

亡くなった親の家の屋根に、太陽光発電のパネルが載っていることがあります。
相続の手続きでは、預貯金や不動産の名義変更に目が向きがちで、太陽光発電の手続きは後回しになりやすいものです。
太陽光発電は、国の制度で認定を受けて、電気を電力会社に売っています。
持ち主が亡くなったときは、国への届出と、電力会社との売電契約の名義変更が必要です。
手続きをしないままにしておくと、売電のお金が亡くなった方の口座に振り込まれ続けたり、口座の凍結で入金が止まったりします。
この記事では、太陽光発電のある家を相続したときの手続きを、FIT期間中の場合と、設置から10年たった卒FITの場合に分けて解説します。
この記事でわかること
- 太陽光発電を相続したときに必要な2つの手続き
- FIT期間中と卒FIT後で違う必要書類
- 遺産分割協議書に太陽光発電を書くときの注意点
太陽光発電の相続で必要な2つの手続き
太陽光発電のある家を相続したときは、次の2つの手続きをします。
| 手続き | 出す先 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 事後変更届出 | 経済産業省(再生可能エネルギー電子申請) | 発電設備の認定の名義を、亡くなった方から相続人に変える |
| ② 売電契約の名義変更 | 電力会社(電気の買取先) | 売電契約の名義と、売電のお金の振込先を変える |
①は、国の固定価格買取制度(FIT)で認定を受けた設備の名義を変える届出です。
相続による名義変更は、事前の申請ではなく、相続のあとに届け出る「事後変更届出」という手続きになります。
届け出るのは、太陽光発電を相続した人です。
②は、①の届出の控え(届出の画面や届出書の写し)を電力会社に出して行います。
先に①を済ませておくと、②がスムーズに進みます。
家の相続登記とは別の手続き
家や土地の名義は、法務局で相続登記をして変えます。
ただ、相続登記をしても、太陽光発電の名義は自動では変わりません。
太陽光発電は、国の認定と電力会社との契約で動いているため、それぞれに手続きが必要です。
FIT期間中と卒FIT後の違い
住宅用の太陽光発電(出力10kW未満)は、電気を決まった価格で買い取ってもらえる期間(FIT期間)が10年です。
設置から10年たつと買取期間が終わり、これを「卒FIT」と呼びます。
2009年に始まった住宅用の買取制度は、2019年11月から順に10年の期間が終わっています。
亡くなった親の家の太陽光発電も、すでに卒FITになっていることが多いと思います。
| 状態 | 国への届出 | 届出に付ける書類 |
|---|---|---|
| FIT期間中(設置から10年未満) | 事後変更届出が必要 | 戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書など(次の見出しで説明) |
| 卒FIT(設置から10年たった) | 事後変更届出が必要 | 原則として不要 |
卒FITでも、国への届出は必要
買取期間が終わっていても、認定を受けた設備であることに変わりはありません。
そのため、相続で持ち主が変わったときは、卒FITの設備でも国への届出が必要です。
卒FITの場合、国への届出に戸籍謄本などを付ける必要は、原則としてありません。
ただし、行政書士などが代わりに届け出る場合は、相続人からの委任状と印鑑証明書が必要です。
ご自身で届け出る場合も、印鑑証明書を求められることがあります。
また、売電先の電力会社で名義を変えるときは、戸籍謄本や遺産分割協議書を求められることがあります。
結局は相続の書類をそろえることになるため、相続の手続きと一緒に進めると効率的です。
卒FITのあとは、大手電力会社や新電力など、相続人が選んだ会社に電気を売っています。
売電先がどこかは、毎月届く「購入電力量のお知らせ」などで確かめられます。
FIT期間中に届け出るときの必要書類
FIT期間中の設備を相続したときは、事後変更届出に次の書類を付けます。
- 亡くなった方の戸籍謄本・除籍謄本(戸籍の附票を含む。附票がない場合は住民票の除票)
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 法定相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書、または相続人全員の同意書
戸籍謄本の代わりに、法務局で発行してもらえる「法定相続情報一覧図」を使うこともできます。
屋根に載っている設備の場合は、建物の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)も求められることがあります。
戸籍謄本や印鑑証明書は、届け出る日の前3か月以内に発行されたものに限られます。
亡くなった方の戸籍謄本・除籍謄本だけは、この期限がありません。
相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は相続放棄申述受理証明書が、未成年の相続人がいる場合は親権者の書類などが追加で必要です。
戸籍の集め方は「相続の戸籍の集め方」で、相続人の範囲は「相続人は誰?範囲と順位、法定相続分」で解説しています。
遺産分割協議書には、太陽光発電を明記する
太陽光発電のパネルは、建物の一部(附属設備)としては扱われていません。
遺産分割協議書に「建物は長男が相続する」とだけ書いても、太陽光発電まで相続したことにはならない場合があります。
遺産分割協議書には、建物とは別に、太陽光発電設備を誰が相続するかを書いておきましょう。
国の認定を受けた設備には「設備ID」という番号があるため、その番号も書いておくと確実です。
設備IDは、設置したときに届いた認定通知書に書かれています。
遺産分割協議書をこれから作る場合は、最初から太陽光発電を入れておくと、届出のときに作り直さずに済みます。
財産の調べ方は「財産目録の作り方」で解説しています。
手続きの流れ
太陽光発電の相続の手続きは、次の順番で進めます。
- 設置した年と、認定通知書(設備ID)を確かめる
- 戸籍謄本などを集め、遺産分割協議書を作る(FIT期間中の場合)
- 再生可能エネルギー電子申請で、事後変更届出をする
- 届出の控えを電力会社に出して、売電契約の名義と振込先を変える
届出は、インターネットの「再生可能エネルギー電子申請」で行います。
同じ設備について、複数の変更手続きを同時に出すことはできません。
前の手続きが受理されてから、次の手続きに進みます。
つまずきやすいのは、ログインIDと書類探し
電子申請には、その設備を登録したときのログインIDとパスワードが必要です。
設置したときに、販売店や工事業者が代わりに登録していることが多く、ご家族がIDを知らないことがよくあります。
その場合は、設置した業者に問い合わせるか、IDの照会から始めることになります。
認定通知書が見つからないこともあります。
設備IDは、電力会社から届く書類や、設置業者の控えから探せることがあります。
現場からの一言
相続した家を売るときも、太陽光発電の名義が亡くなった方のままだと、買主への名義変更が進められません。
先に相続人への届出を済ませ、そのあとで買主への手続きをするため、売却の段取りに時間がかかります。
太陽光発電のある家を相続して、売るか住むかを決めていない場合でも、相続人への名義変更だけは早めに済ませておくと安心です。
手続きを忘れていると困ること
国への届出や電力会社の手続きには、相続から何日以内という決まった期限はありません。
ただ、手続きをしないままにしておくと、次のような困りごとが起きます。
- 売電のお金が、亡くなった方の口座に振り込まれ続ける
- 口座が凍結されると、売電のお金が入らなくなる
- 振り込まれたお金が相続財産に混ざり、相続人どうしで分け方を決め直すことになる
- 家を売るときに、太陽光発電の名義変更から始めることになり、引き渡しが遅れる
届出をしてから受理されるまで、数か月かかることもあります。
相続の手続きを進めるときは、太陽光発電の届出も一緒に始めておきましょう。
八潮市・草加市で太陽光発電のある家を相続した場合
八潮市・草加市・三郷市の不動産の相続登記は、さいたま地方法務局 草加出張所が管轄しています。
太陽光発電の届出は国(経済産業省)の手続きのため、市役所ではなく電子申請で行います。
南出行政書士事務所は八潮市にあり、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成とあわせて、太陽光発電の届出もお手伝いしています。
料金や必要書類、売買のときの手続きは「太陽光発電の名義変更サポート」でご案内しています。
草加市の方は「草加市の相続相談」、越谷市の方は「越谷市の相続相談」もご覧ください。
出力10kW以上の設備(アパートの屋根や、土地に置いた設備など)は、手続きや書類が変わるため、個別にご相談ください。
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戸籍集めから財産の調査、遺産分割協議書の作成まで、行政書士がまとめてお引き受けします。相続登記は提携の司法書士と連携し、相続した家や土地のご相談も同じ窓口でお受けします。
初回のご相談は無料です(9:00〜19:00・水曜定休)。
まとめ:太陽光発電は、相続登記とは別に届出が必要
- 太陽光発電を相続したら、国への事後変更届出と、電力会社の売電契約の名義変更が必要
- 設置から10年たった卒FITの設備でも、国への届出は必要(届出に付ける書類は原則不要)
- FIT期間中は、戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書などを付ける
- 遺産分割協議書には、建物とは別に太陽光発電設備(設備ID)を書く
- 手続きを忘れると、売電のお金が故人の口座に入り続けたり、止まったりする
太陽光発電の手続きは、相続の手続きの中でも見落とされやすいものです。
戸籍の収集や遺産分割協議書の作成と一緒に進めれば、集めた書類をそのまま使えます。
南出行政書士事務所では、相続人調査(戸籍の収集)から遺産分割協議書の作成まで、相続の手続きをまとめてお手伝いする「相続手続きサポート」をご用意しています。
太陽光発電の届出や、相続した家の売却のご相談も、同じ窓口で対応できます。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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