財産目録の作り方 — 何を、どこまで調べればいい?【記載例つき】

家族が亡くなったあと、遺産の分け方を話し合う前に、まず「何が、どれだけあるのか」をはっきりさせる必要があります。
そのために作るのが、財産と借金を一覧にした「財産目録」です。
財産目録に決まった書式はなく、ご家族が自分で作ることもできます。
ただ、調べ方を知らないと、預金口座や土地、借金を見落としてしまうことがあります。
この記事でわかること
- 財産目録に書く項目と、記載例
- 金額(評価額)の書き方
- 不動産・預貯金・借金を漏れなく調べるコツ
財産目録はなぜ必要?
財産目録は、次のような判断の土台になります。
- 相続放棄をするかどうか:借金のほうが多ければ、相続放棄を検討する。期限は、原則として相続を知ってから3か月以内
- 相続税の申告が必要かどうか:遺産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかを確かめる
- 遺産をどう分けるか:相続人全員が同じ一覧を見て話し合える
- 手続きの漏れを防ぐ:解約や名義変更が必要なものを、ひとつずつ確認できる
特に相続放棄の期限は短いため、財産目録はできるだけ早く作り始めることが大切です。
期限の全体像は「相続手続きの期限一覧」にまとめています。
財産目録に書く項目
財産の種類ごとに、次の項目を書きます。
あわせて、裏づけになる資料もそろえておきます。
| 財産の種類 | 書く項目 | 裏づけの資料 |
|---|---|---|
| 土地・建物 | 所在、地番・家屋番号、地目・種類、面積、評価額 | 名寄帳、登記事項証明書、固定資産評価証明書 |
| 預貯金 | 金融機関名・支店名、種類、口座番号、亡くなった日の残高 | 通帳、残高証明書 |
| 株式・投資信託 | 証券会社名、銘柄、数量、評価額 | 取引残高報告書、残高証明書 |
| 自動車 | 車名、登録番号、おおよその価格 | 車検証 |
| 現金・貴金属など | 保管場所、金額やおおよその価格 | ― |
| 借入金 | 借入先、種類(住宅ローン・カードローンなど)、残高 | 返済予定表、残高証明書 |
| 未払いのもの | 税金、医療費、公共料金など | 納付書、請求書 |
生命保険の死亡保険金は、受取人が決まっていれば、原則として受取人自身の財産になり、遺産分割の対象にはなりません。
ただし、相続税では相続財産とみなされて計算に入るため、目録の最後に「参考」として書いておくと安心です。
財産目録の記載例
実際の財産目録は、次のような表にまとめます。
金額などはすべて架空のものです。
| 区分 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 土地 | 八潮市○○1丁目2番 宅地 150.00㎡ | 18,000,000円(固定資産税評価額) |
| 建物 | 同所 家屋番号2番 木造2階建 居宅 | 3,200,000円(固定資産税評価額) |
| 預金 | ○○銀行 八潮支店 普通 1234567 | 5,432,100円(亡くなった日の残高) |
| 預金 | ゆうちょ銀行 定額貯金 | 2,000,000円 |
| 株式 | ○○証券 ○○株式会社 500株 | 1,250,000円 |
| 借入金 | ○○カード キャッシング | ▲320,000円 |
| 未払金 | 入院費(○○病院) | ▲85,000円 |
| 合計 | 29,477,100円 |
借金などのマイナスの財産は、「▲」をつけて差し引くと、全体の金額がわかりやすくなります。
最後に、作成日と作成者の氏名を書いておきます。
金額(評価額)の書き方
財産目録の金額は、遺産を分ける話し合いの目安です。
次のような金額で書くのが一般的です。
- 土地・建物:固定資産税評価額(名寄帳や評価証明書に載っている金額)
- 預貯金:亡くなった日の残高(残高証明書で確認)
- 株式・投資信託:亡くなった日の時価(証券会社の残高証明書で確認)
土地は、固定資産税評価額と実際に売れる価格が大きく違うことがあります。
自宅を誰が相続するかで話し合うときは、不動産会社の査定額を参考に並べておくと、公平感のある話し合いにつながります。
なお、相続税を計算するときの評価額は、路線価など別のルールで決まります。
相続税の申告が必要になりそうなときは、税理士に相談しましょう。
何を、どこまで調べればいい?
財産目録で一番大変なのは、財産を漏れなく見つけることです。
ここでは、見落としやすいものを中心に調べ方のコツを紹介します。
財産の種類ごとの詳しい調べ方は、こちらの記事で解説しています。
不動産:名寄帳と所有不動産記録証明制度
不動産は、市区町村の「名寄帳(なよせちょう)」を取ると、その市区町村にある不動産の一覧がわかります。
固定資産税の納税通知書には、税金のかからない私道などが載っていないことがあるため、名寄帳で確認するのが確実です。
さらに、2026年2月から「所有不動産記録証明制度」が始まりました。
法務局に請求すると、亡くなった方の名義の不動産を、全国分まとめて一覧にしてもらえます。
相続人が請求でき、手数料は書面での請求で1通1,600円です。
ただし、この制度は氏名と住所で検索する仕組みです。
登記簿の住所が古いままになっていると、今の住所だけでは見つからないことがあります。
昔住んでいた住所も検索の条件に入れて請求しましょう。
預貯金・株式:通帳と郵便物、スマホも確認
預貯金は、通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物で口座を探します。
最近は通帳のないネット銀行やネット証券も多いため、スマートフォンのアプリやメールも確認してください。
口座が見つかったら、亡くなった日の残高証明書を発行してもらいます。
預貯金の手続きは「預貯金の相続手続き」で詳しく解説しています。
借金:信用情報機関に開示を請求する
カードローンやクレジットカードの借入は、信用情報機関に開示を請求すると確認できます。
主な機関は、CIC、JICC(日本信用情報機構)、全国銀行個人信用情報センターの3つです。
相続人が請求でき、郵送やインターネットで手続きできます。
ただし、個人間の借金や、ほかの人の借金の保証人になっている場合は、信用情報ではわからないことがあります。
契約書や督促の郵便物がないかも確認しておきましょう。
八潮市・草加市・越谷市で名寄帳を取るには
八潮市では、名寄帳(課税台帳の写し)は市役所の資産税課で請求できます。
受付は平日の午前9時から午後4時30分までで、郵送での請求もできます。
相続人が請求するときは、亡くなった方との関係がわかる戸籍が必要です。
草加市・越谷市の不動産も、それぞれの市役所の固定資産税の担当窓口で請求できます。
名寄帳は市区町村ごとに作られているため、亡くなった方が不動産を持っていそうな市区町村ごとに請求します。
現場からの一言
相続した実家の売却のご相談で名寄帳を取ると、ご家族が知らなかった土地が見つかることがあります。
よくあるのが、自宅の前の私道の持分です。
私道の持分を相続登記から漏らしてしまうと、売却のときに買主のローンが通りにくくなるなど、後から困ることがあります。
不動産は、自宅だけでなく周辺の土地まで確認しておくと安心です。
草加市の方は、草加市の窓口と不動産事情をまとめた「草加市の相続相談」のページもご覧ください。
春日部市の方は、春日部市の窓口と不動産事情をまとめた「春日部市の相続相談」のページもご覧ください。
まとめ:財産目録は相続の判断の土台
- 財産目録は、財産と借金を一覧にした表。決まった書式はない
- 相続放棄、相続税の申告、遺産分割の判断の土台になる
- 金額は、不動産は固定資産税評価額、預貯金は亡くなった日の残高が目安
- 不動産は名寄帳と所有不動産記録証明制度、借金は信用情報機関で確認する
- 相続放棄の期限(原則3か月)があるため、早めに作り始める
財産の調査は、郵送のやり取りや平日の窓口通いが多く、思った以上に時間がかかります。
南出行政書士事務所の「財産調査サポート」では、名寄帳の取得や信用情報機関への照会などで財産を調べ、財産目録にまとめます。
費用は、財産3件まで30,000円、4件目以降は1件5,000円、財産目録の作成が10,000円です(税別・取得の実費は別)。
戸籍の収集から遺産分割協議書の作成までまとめてご依頼いただく場合は、「相続手続きサポート」もご用意しています。
相続税の申告が必要な場合は、提携する税理士と連携して進めます。
宅地建物取引士として13年の実務経験もあり、相続した不動産の評価や売却・活用のご相談にもそのまま対応できます。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
あわせて読みたい:相続放棄とは — 3か月以内の手続きと、やってはいけないこと
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