遺産分割協議書の書き方 ― 不動産を法定相続分どおりに分けるケース

遺産分割協議書は、相続人ごとの事情に合わせて内容を作成する、いわばオーダーメイドの書類です。
今回はその前提を踏まえた上で、代表的なパターンのひとつとして「法定相続分どおりに分ける」ケースのサンプルをご紹介します。
ケース設定
- 被相続人:八潮A郎
- 相続人:妻・八潮B美、長男・八潮C男、長女・八潮D子
- 相続財産:自宅の土地・建物(不動産のみ)
- 分割内容:法定相続分どおりに取得する(妻2分の1、長男4分の1、長女4分の1)
「揉めたくないので、法律で決まったとおりに分けたい」というご希望から、このパターンを選ばれる方も少なくありません。
遺産分割協議書のサンプル
遺産分割協議書
本籍 :埼玉県草加市中央〇丁目〇番〇号
最後の住所:埼玉県八潮市八潮〇丁目〇番地〇
被相続人 :八潮A郎(令和〇年〇月〇日死亡)
相続人 八潮B美、相続人 八潮C男および相続人 八潮D子は、被相続人の遺産について、本日、遺産分割協議を行い、本書のとおり同意した。
1 八潮B美、八潮C男および八潮D子は、次の遺産を、八潮B美が2分の1、八潮C男および八潮D子が各持分4分の1の割合で取得する。
(土地)所在 八潮市八潮〇丁目
地番 〇番〇
地目 宅地
地積 〇〇平方メートル
(建物)所在 八潮市八潮〇丁目〇番地
家屋番号 〇番〇
種類 居宅
構造 〇〇
床面積 〇〇平方メートル
2 後日、新たな遺産が発見されたときは、相続人全員で再度協議する。
以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を3通作成し、署名押印のうえ、各1通ずつ保有する。
令和〇年〇月〇日
住所:
氏名: ㊞
住所:
氏名: ㊞
住所:
氏名: ㊞
記載時のポイント
1. 持分の表記は正確に
法定相続分は、相続人の構成によって割合が変わります(配偶者と子の場合は配偶者1/2・子は残り1/2を人数で均等分割)。
今回のように子が2人であれば、各4分の1になります。
協議書には、この持分割合を分数で明記します。
2. 不動産の表記は登記簿謄本のとおりに
所在・地番・地目・地積・家屋番号・床面積などは、法務局で取得した登記事項証明書に記載されているとおり、一字一句正確に転記します。
生活上の住所表記とは異なることが多いため、思い込みで記載せず、必ず登記事項証明書を確認しながら作成することが重要です。
3. 後から判明した遺産の扱い
「上記以外に遺産のあることが判明した場合」の条項は、再協議とする書き方のほか、あらかじめ相続人の一人を指定して取得させる書き方にしておくのも一つの方法です。
後日少額の遺産が見つかるたびに再協議の手間が発生するのを避けられるため、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
4. 共有名義にすることの注意点
法定相続分どおりに分けると、不動産は相続人全員の共有名義になります。
公平に見える一方で、以下のような課題が生じやすい点は事前にお伝えしておくべきです。
- 将来、不動産を売却する際は共有者全員の同意が必要になる
- 修繕やリフォームの費用負担・管理方針で意見が分かれることがある
- 相続人の一人が亡くなった場合、その持分がさらに次の相続人に分散していく可能性がある
そのため、「ひとまず法定相続分で分けておく」という選択は、後々の管理や売却を見据えた話し合いを別途しておくことをおすすめします。
5. 署名押印について
遺産分割協議書には、実印での押印が必要です。
これは、相続登記や金融機関での手続きの際に印鑑証明書の添付が求められるためです。
また、記載する住所は生活上の住所ではなく、印鑑証明書に記載されている住所と一致させる必要があります。
印鑑証明書と異なることころに居住している場合は、印鑑証明書上の住所と現住所の2つを記載しておくことをおすすめします。
まとめ
法定相続分どおりに分ける方法は、話し合いの負担が少ない一方で、共有名義特有の課題も伴います。
遺産分割協議書はケースに応じたオーダーメイドが前提ですので、実際に作成される際は、ご自身の状況に合わせて専門家にご相談いただくことをおすすめします。
遺産分割協議書の作成や相続手続き全般について、お気軽にご相談ください。
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