遺言書の検認とは — 手続きの流れ・費用・期間と、開けてしまったとき

親が亡くなったあと、遺品を整理していたら、手書きの遺言書が出てきた。
こうしたとき、すぐに封を開けて中身を確かめたくなるかもしれません。
ただ、自宅で見つかった手書きの遺言書は、家庭裁判所で「検認」という手続きを受けるまで、預貯金の解約や不動産の名義変更には使えません。
封がしてある遺言書は、家庭裁判所の外で開けてはいけないことにもなっています。
この記事でわかること
- 検認が必要な遺言書と、いらない遺言書の見分け方
- 検認の申立ての流れ・費用・必要書類と、期間の目安
- うっかり開封してしまったときと、相続放棄の期限との関係
遺言書の「検認」とは
検認とは、家庭裁判所で相続人の立ち会いのもと遺言書を開き、その時点の形や中身を記録しておく手続きです。
日付、署名、書き直した跡などを確認し、そのあとで書き換えられたり、すり替えられたりするのを防ぐために行います。
検認は、遺言書が有効かどうかを判断する手続きではありません。
検認を受けた遺言書でも、あとで無効を争われることはあります。
反対に、検認を受けなかったからといって、遺言そのものが無効になるわけでもありません。
ただし、検認を受けていない手書きの遺言書では、銀行も法務局も手続きを受け付けてくれません。
実際に相続の手続きを進めるには、検認が欠かせないということです。
遺言書の探し方や、見つかったあとの全体の流れは「遺言書が見つかったら最初にやること」で解説しています。
検認が必要な遺言書、いらない遺言書
検認がいるかどうかは、遺言書の種類で決まります。
| 遺言書の種類 | 検認 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言(自宅などで保管) | 必要 | 本人が手書きした遺言書。自宅の金庫や仏壇、貸金庫などから見つかる |
| 自筆証書遺言(法務局で保管) | 不要 | 法務局の保管制度を使ったもの。保管証が見つかることがある |
| 公正証書遺言 | 不要 | 公証役場で作ったもの。表紙に「遺言公正証書」などと書かれている |
法務局に預けられていた遺言書は、相続人が法務局で「遺言書情報証明書」を取れば、それを使って手続きができます。
制度のくわしい内容は「自筆証書遺言書保管制度の使い方」をご覧ください。
なお、2026年6月に成立した法改正で、パソコンで作って法務局に預ける新しい遺言(保管証書遺言)ができることになりました。
こちらも検認はいらない仕組みですが、始まるのは公布から3年以内で、まだ使えません。
くわしくは「デジタル遺言(保管証書遺言)とは」で解説しています。
封のある遺言書は、開けずに家庭裁判所へ
封がしてある遺言書は、家庭裁判所で、相続人やその代理人の立ち会いのもとで開けることになっています。
家族だけで開けてしまうと、5万円以下の過料(行政上の罰金のようなもの)の対象になります。
うっかり開けてしまったときは
開封してしまっても、遺言書が無効になるわけではありません。
また、開けてしまったからといって、検認がいらなくなるわけでもありません。
開けた遺言書は、それ以上書き込んだり、ホチキスを外したりせず、封筒ごとそのまま保管してください。
そのうえで、通常どおり検認を申し立てます。
検認の場で、開封してしまった経緯を説明すれば足ります。
書き換えたり、隠したり、捨てたりした場合は、話がまったく変わります。
遺言書を故意に隠したり捨てたりした相続人は、相続人の資格を失うことがあります。
内容に納得できなくても、見つかったままの状態で家庭裁判所に出すことが大切です。
検認の申立ての流れ・費用・必要書類
検認は、遺言書を保管していた人か、遺言書を見つけた相続人が申し立てます。
法律上は「遅滞なく」とされていて、決まった期限はありませんが、見つかったら早めに手続きを始めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し立てる人 | 遺言書を保管していた人、または見つけた相続人 |
| 申立先 | 亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所 |
| 費用 | 遺言書1通につき収入印紙800円、連絡用の郵便切手(裁判所が指定する分) |
| 主な必要書類 | 申立書、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍、相続人全員の戸籍謄本 |
| 検認済証明書 | 遺言書1通につき収入印紙150円 |
| 期日までの目安 | 申立てから1〜2か月ほど |
手続きの流れ
- 戸籍を集め、申立書と一緒に家庭裁判所へ提出する
- 家庭裁判所から、相続人全員に検認の日(検認期日)の通知が届く
- 検認期日に、申立人が遺言書を持って家庭裁判所へ行く
- 出席した相続人の立ち会いのもと、裁判官が封を開けて内容を確認する
- 検認済証明書を申請し、遺言書につけてもらう
申立人は、検認期日に必ず出席します。
ほかの相続人の出席は自由で、全員がそろわなくても検認は行われます。
欠席した相続人には、検認が終わったことが家庭裁判所から知らされます。
戸籍集めにいちばん時間がかかる
申立ての準備で手間がかかるのは、戸籍の収集です。
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍は、本籍地を移していれば何か所にもまたがります。
子がいない方で、兄弟姉妹が相続人になる場合は、亡くなった方の両親の戸籍まで必要になり、さらに量が増えます。
本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍を取れる「広域交付」を使うと、集める手間を減らせます。
集め方は「相続の戸籍の集め方」、誰が相続人になるかは「相続人は誰?範囲と順位」で解説しています。
検認が終わったら、何ができるか
検認済証明書のついた遺言書があれば、遺言の内容にそって相続の手続きを進められます。
- 不動産の名義変更: 遺言書をもとに、相続登記を申請します
- 預貯金の解約・名義変更: 遺言書と戸籍などをそろえて、金融機関で手続きします
遺言で遺言執行者が決められていれば、その人が中心になって手続きを進めます。
遺言書に書かれていない財産があれば、その財産については相続人全員で遺産分割の話し合いをします。
相続登記の進め方は「相続した土地・家の名義変更(相続登記)」、預貯金は「預貯金の相続手続き」にまとめています。
検認を待つあいだも、相続放棄の期限は進む
検認には、準備も含めると2〜3か月かかることがあります。
そのあいだにも、相続の期限は進んでいます。
特に気をつけたいのが、相続放棄の期限です。
相続放棄は、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
遺言の中身を見てから決めたいと思っていても、検認を待っているうちに期限が来てしまうことがあります。
財産や借金の調べがつかないときは、3か月の期間内に家庭裁判所へ申し立てれば、期間を延ばしてもらえることがあります。
迷っているあいだに預貯金を引き出して使ったりすると、相続放棄ができなくなることもあるので注意してください。
相続放棄については「相続放棄とは」、ほかの期限は「相続手続きの期限一覧」にまとめています。
現場からの一言
相続した実家を売りたいというご相談で、手書きの遺言書が見つかっていて、まだ検認をしていないという方がいます。
検認が終わるまでは名義変更ができないため、売り出しも先に延びてしまいます。
遺言書が見つかったら、中身がどうであれ、まず検認の準備を始めておくことをおすすめします。
八潮市・草加市・越谷市の場合の窓口
検認の申立ては、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に行います。
八潮市・草加市・越谷市・三郷市・春日部市にお住まいだった方なら、さいたま家庭裁判所 越谷支部が窓口です。
施設に入っていて住民票を移していた場合は、その施設の住所地で判断します。
亡くなった方が遠方に住んでいた場合は、その地域の家庭裁判所になりますが、申立書は郵送でも出せます。
草加市の方は、草加市の窓口と不動産事情をまとめた「草加市の相続相談」のページもご覧ください。
春日部市の方は、春日部市の窓口と不動産事情をまとめた「春日部市の相続相談」のページもご覧ください。
まとめ:手書きの遺言書が見つかったら、開けずに検認を
- 自宅などで見つかった手書きの遺言書は、家庭裁判所で検認を受けるまで、相続の手続きに使えない
- 公正証書遺言と、法務局に預けられていた遺言書は、検認はいらない
- 封のある遺言書は開けずに家庭裁判所へ。開けてしまっても無効にはならないが、検認は必要
- 費用は1通800円と郵便切手。申立てから期日まで1〜2か月ほどで、戸籍集めにいちばん時間がかかる
- 検認を待つあいだも、相続放棄の3か月の期限は進む
遺言書が見つかったあとは、戸籍を集めて相続人を確かめ、検認を受け、遺言にそって名義変更や解約を進めていきます。
遺言に書かれていない財産があれば、遺産分割の話し合いも必要になります。
南出行政書士事務所では、戸籍の収集による相続人の確定から、財産目録、遺産分割協議書(案)の作成、預貯金の解約までをまとめてお手伝いする「相続手続きサポート」をご用意しています。
検認の申立書の作成は、提携する司法書士と連携して進めます。
宅地建物取引士として13年の実務経験もあり、遺言で受け継いだ家を売るか、残すかのご相談にも、そのまま対応できます。
これから遺言書を作りたいという方は、「遺言書作成サポート」もご覧ください。
公正証書遺言にしておけば、残されたご家族は検認の手続きをしなくて済みます。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
あわせて読みたい:自筆証書遺言書保管制度の使い方 — 費用3,900円・必要書類・申請の流れ
あわせて読みたい:遺言書が見つかったら最初にやること|探し方から名義変更まで解説
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