自筆証書遺言書保管制度の使い方 — 費用3,900円・必要書類・申請の流れ

自分で書いた遺言書を、自宅のたんすや金庫にしまっている方は少なくありません。

ただ、自宅での保管には、なくしてしまう、家族に見つけてもらえない、誰かに書き換えられる、といった心配がつきまといます。

亡くなったあとには、家族が家庭裁判所で「検認」という手続きをしなければならず、すぐに名義変更へ進めないこともあります。

こうした心配をなくすために、2020年7月から、自筆の遺言書を法務局が預かる「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。

手数料は1通3,900円です。

この記事でわかること

  • 法務局に遺言書を預けるメリットと、注意しておきたいこと
  • 遺言書の書き方のルール(用紙・余白など)と必要書類
  • 予約から保管証を受け取るまでの流れと、八潮市の方の窓口

自筆証書遺言書保管制度とは

自筆証書遺言書保管制度は、自分で手書きした遺言書を、法務局(遺言書保管所)が原本と画像データで預かってくれる制度です。

自宅で保管する場合と比べると、次のような違いがあります。

比べるところ自宅で保管法務局に預ける
なくす・捨てられる心配あるない
書き換えられる心配あるない
家庭裁判所の検認必要不要
形式のチェックなし預けるときに法務局が確認
亡くなったことの通知なし指定した人(3人まで)に届く
費用かからない3,900円

原本は遺言者が亡くなってから50年間、画像データは150年間保管されます。

2023年10月からは、亡くなったときに知らせる相手を3人まで指定できるようになりました。

内容まで確認してもらえるわけではない

法務局が確認するのは、日付や署名があるか、用紙や余白が決まりどおりかといった、見た目の形式だけです。

誰に何を残すかという内容が適切か、遺言書として有効かまでは確認してもらえません。

財産の書き方があいまいだと、預けていても名義変更に使えないことがあるため、内容は預ける前に十分に確認しておきましょう。

遺言書の書き方のルール

自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で書き、印を押すのが基本です。

財産目録(財産の一覧)だけは、パソコンで作ったり、通帳のコピーや登記事項証明書を付けたりしてもかまいません。

その場合は、目録のすべてのページに署名と押印が必要です。

法務局に預ける遺言書には、さらに次の決まりがあります。

項目決まり
用紙A4サイズ。文字が読みにくくなる模様や色がないもの
余白上5mm、下10mm、左20mm、右5mm以上
書く面片面だけ(裏には書かない)
ページ番号2枚以上なら「1/2」「2/2」のように総ページ数も書く
とじ方ホチキスなどでとじず、ばらばらのまま。封筒もいらない
筆記具ボールペンや万年筆など、消えにくいもの

余白に文字がはみ出していると、そのままでは預かってもらえません。

法務省のホームページに用紙の見本があるので、それを印刷して使うと安心です。

家や土地は、登記事項証明書のとおりに書く

遺言書で家や土地を誰かに残すときは、住所ではなく、登記事項証明書(登記簿)に書かれている所在・地番・家屋番号で書くのが基本です。

住所で書くと、どの土地のことかがはっきりせず、名義変更の手続きで困ることがあります。

私道の持ち分や、隣の小さな土地などは書き漏れが起きやすいので、固定資産税の納税通知書とあわせて確認しましょう。

申請の流れと必要書類

保管の申請は、次の流れで進みます。

  1. 遺言書を書く
  2. 預ける法務局を決める(住所地・本籍地・持っている不動産の所在地のいずれかを担当する保管所)
  3. 申請書を作る(法務省のホームページからダウンロードできる)
  4. 予約をとる(予約は必須)
  5. 本人が法務局へ行き、申請する
  6. 保管証を受け取る

当日に持っていくものは次のとおりです。

  • 遺言書(ホチキスでとじず、ばらばらのまま)
  • 保管申請書
  • 本籍と筆頭者の記載がある住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)
  • 顔写真つきの本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 手数料3,900円分の収入印紙

申請できるのは遺言者本人だけで、家族が代わりに行くことや、郵送での申請はできません。

入院中などで法務局へ行けない場合は、この制度は使えないため、公証人に来てもらって作る公正証書遺言を検討することになります。

最後に受け取る保管証には、保管番号が書かれています。

家族に遺言書を預けたことを伝えるときに使えるので、大切に保管しておきましょう。

手数料の一覧

手続き手数料
遺言書の保管の申請(1通)3,900円
遺言書の閲覧(モニター)1,400円
遺言書の閲覧(原本)1,700円
遺言書情報証明書の交付1,400円
遺言書保管事実証明書の交付800円
保管の申請の撤回・住所などの変更の届出無料

手数料は収入印紙で納めます。

預けたあと、亡くなったあとの流れ

預けた遺言書は、本人が手続きをすれば返してもらうこと(撤回)ができ、手数料はかかりません。

引っ越しや氏名の変更があったときは、変更の届出をしておきます。

内容を変えたいときは、新しい遺言書を書いて、あらためて保管を申請します。

遺言者が亡くなったあと、家族は法務局で、遺言書が預けられているかを確認する証明書や、遺言書の内容を写した「遺言書情報証明書」を請求できます。

不動産の名義変更や預貯金の解約には、この遺言書情報証明書を使います。

家庭裁判所の検認はいらないので、自宅で見つかった遺言書より早く手続きに進めます。

相続人の誰かが遺言書を見たり証明書を受け取ったりすると、ほかの相続人にも、遺言書が預けられていることが通知されます。

家族が遺言書を探すときの手順は、「遺言書が見つかったら最初にやること」で解説しています。

遺言書が見つかったら最初にやること|探し方から名義変更まで解説

遺言書が見つかった場合の正しい手順を解説します。遺言書の探し方、公正証書遺言と自筆証書遺言の違い、検認の要否、名義変更までの流れをわかりやすく紹介します。

公正証書遺言とどちらを選ぶか

遺言書を確実に残す方法には、法務局に預ける自筆証書遺言のほかに、公証役場で作る公正証書遺言があります。

比べるところ自筆証書遺言(法務局に預ける)公正証書遺言
作る人本人が手書き公証人
公的な費用3,900円財産の額による(数万円ほど)
証人いらない2人必要
内容のチェック形式だけ公証人が確認
本人が出向けないとき使えない公証人に来てもらえる

費用を抑えて、まず一度形にしておきたい方には、法務局に預ける方法が向いています。

家や土地が多い、相続人の関係が複雑など、内容で争いになりそうな場合は、公正証書遺言のほうが安心です。

2026年6月には、パソコンで作った遺言を法務局に預ける新しい制度も法律で決まりました。

詳しくは「デジタル遺言(保管証書遺言)とは」をご覧ください。

デジタル遺言(保管証書遺言)とは — いつから使える?今できる準備

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現場からの一言

不動産の売却のご相談で、遺言書があったのに、家の書き方があいまいで名義変更に使えなかった、という話を聞くことがあります。

法務局に預けていても、内容までは確認してもらえません。

家や土地が財産の中心になるご家庭ほど、登記事項証明書をそろえて、書き方を一度専門家に見てもらうと安心です。

八潮市・草加市・越谷市の場合の窓口

八潮市・草加市・越谷市・三郷市・春日部市に住んでいる方の遺言書保管所は、さいたま地方法務局 越谷支局です。

不動産の登記を扱う草加出張所では、遺言書の保管は扱っていないので注意してください。

住所地のほか、本籍地や、持っている不動産の所在地を担当する保管所でも申請できます。

予約は、法務局の手続案内予約サービス(インターネット)や電話でとれます。

草加市の方は、草加市の窓口と不動産事情をまとめた「草加市の相続相談」のページもご覧ください。

春日部市の方は、春日部市の窓口と不動産事情をまとめた「春日部市の相続相談」のページもご覧ください。

まとめ:自筆の遺言書は、法務局に預けて確実に

  • 自筆の遺言書は、法務局に1通3,900円で預けられる
  • 預ければ、紛失や書き換えの心配がなく、家庭裁判所の検認もいらない
  • A4・片面・余白など決まりがあり、申請は本人が予約して法務局へ行く
  • 法務局が確認するのは形式だけで、内容が有効かまでは確認しない
  • 八潮市・草加市・越谷市などの方は、さいたま地方法務局 越谷支局が窓口

南出行政書士事務所では、法務局に預ける自筆証書遺言の作成を、5万円(税別)でお手伝いしています。

家や土地の価格の目安をふまえた分け方のご提案、文案づくり、書き上がった遺言書の確認、申請書の準備と予約まで一緒に進めます。

くわしくは「遺言書作成サポート」をご覧ください。

宅地建物取引士として13年の実務経験もあり、家や土地の書き方まで確認できます。

初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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