宅建業免許の申請 — 不動産屋を開業するときの要件と費用

宅建業免許の申請 不動産屋を開業するときの要件と費用

不動産会社に勤めて経験を積み、いずれ自分のお店を持ちたいと考える方は少なくありません。

不動産の売買や仲介を仕事として行うには、宅地建物取引業の免許(宅建業免許)が必要です。

免許をとるには、事務所の条件や、専任の宅地建物取引士を置くことなど、いくつかの要件を満たさなければなりません。

審査には1か月以上かかり、そのあとに保証協会への加入などの手続きもあるため、開業の日から逆算して準備することが大切です。

この記事では、埼玉県知事免許を例に、宅建業免許の要件、申請から営業開始までの流れ、かかる費用、免許をとったあとに必要なことを解説します。

この記事でわかること

  • 宅建業免許が必要になる仕事と、免許を受けるための4つの要件
  • 申請から営業を始めるまでの流れと、審査期間の目安
  • 手数料・保証協会など開業にかかるお金と、5年ごとの更新

宅建業免許が必要になるのは

宅建業とは、土地や建物について、次の取引を仕事としてくり返し行うことをいいます。

自分の物件他人の物件の代理他人の物件の仲介
売買免許が必要免許が必要免許が必要
交換免許が必要免許が必要免許が必要
貸し借り不要免許が必要免許が必要

自分のアパートを人に貸す賃貸業や、建物の管理業だけなら、宅建業免許はいりません。

一方で、賃貸の仲介をする場合は免許が必要です。

事務所を1つの都道府県の中だけに置く場合は都道府県知事の免許、2つ以上の都道府県に置く場合は国土交通大臣の免許になります。

八潮市や草加市で1か所の事務所を開くなら、埼玉県知事の免許です。

免許の有効期間は5年です。

法人で申請する場合は、会社の登記の目的に「不動産の売買・仲介」など、宅建業にあたる内容が書かれている必要があります。

免許を受けるための4つの要件

1. 事務所

宅建業の事務所は、継続して営業でき、ほかの会社や住まいから独立している必要があります。

月ごとの契約のマンスリーオフィスや、基礎のない簡易な建物は、事務所として認められません。

自宅の一室を事務所にすることもできますが、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 玄関から事務所まで、住まいの部分を通らずに行けること
  • 玄関から住まいの部分まで、事務所を通らずに行けること
  • 事務所と住まいの間が、壁や扉で仕切られていること

ほかの会社と同じフロアを使う場合も、同じ考え方です。

床に置いただけのパーテーションや、家具を並べただけの仕切りは認められません。

このほか、会社名義の電話、玄関への社名の表示、専用の郵便受けも必要です。

申請のときは、外観から室内まで、事務所の様子がわかる写真をつけます。

マンションの一室を使う場合は、管理規約で事務所としての利用が認められているかも確かめてください。

2. 代表者と政令使用人

宅建業者の代表者は、事務所の営業時間中は常に勤めている必要があります。

代表者がほかの仕事でいられない場合は、代わりに契約を結ぶ権限を持つ人(政令使用人)を置きます。

3. 専任の宅地建物取引士

事務所には、宅建業の仕事をする人5人につき1人以上、専任の宅地建物取引士(宅建士)を置かなければなりません。

5人には代表者も含まれるので、ひとりで開業する場合は、代表者自身が宅建士であれば要件を満たせます。

専任とは、その事務所に常に勤め、宅建業の仕事に専念していることです。

ほかの会社に勤めている人や、営業時間より短い時間しか働けない人、通勤できないほど遠くに住んでいる人は、専任の宅建士になれません。

有効期限の切れていない宅建士証を持っていることも必要です。

4. 欠格事由

代表者や役員などが、法律で定められた欠格事由にあたる場合は、免許を受けられません。

たとえば、破産して復権していない人、一定の刑を受けてから5年たっていない人、暴力団員などです。

申請のときは、役員などの全員について、本籍地の市区町村が出す身分証明書と、法務局が出す登記されていないことの証明書を出します。

申請から営業開始までの流れ

申請から営業を始めるまでの流れは、次のとおりです。

段階内容期間の目安
準備会社の設立、事務所の確保、専任の宅建士の確保、書類集め1〜2か月
申請県庁の窓口(予約制)か、電子申請(eMLIT)―
審査県の審査。終わると免許通知のハガキが届く約35日
保証の手続き保証協会への加入、または営業保証金の供託数週間〜
免許証の交付免許証を受け取り、営業開始―

埼玉県の審査期間の目安は、申請が受け付けられてから約35日です。

書類に不備があると、直すまでの期間はこれに含まれません。

大切なのは、免許証を受け取るまでは営業を始められないことです。

物件の広告を出したり、お客様を募ったりすることもできません。

専任の宅建士は、前の勤め先の登録に注意

新しく申請するときは、専任の宅建士が、ほかの宅建業者の従業者や専任の宅建士として登録されたままになっていないことが必要です。

登録が残っていると、審査を始めてもらえません。

宅建士本人が届け出る「従事先」の変更と、前の勤め先の会社が届け出る「専任の宅建士」の変更は、別の手続きです。

退職しても、前の会社が届出をしていないことがあるので、申請の前に確かめておきましょう。

電子申請も使える

申請は、県庁の窓口のほか、国土交通省の電子申請システム(eMLIT)でもできます。

電子申請は予約がいらず、手数料も安くなります。

ただし、電子申請には、GビズIDプライムというアカウントが必要です。

取得に時間がかかることがあるので、書類集めと同時に申し込んでおくと安心です。

開業にかかるお金

宅建業の開業にかかる主なお金は、次のとおりです。

費用金額
申請手数料(埼玉県知事・新規)窓口33,000円/電子申請26,500円
保証協会に加入する場合弁済業務保証金分担金 本店60万円(支店1か所ごとに30万円)+入会金・年会費など
保証協会に加入しない場合営業保証金の供託 本店1,000万円(支店1か所ごとに500万円)
そのほか会社の設立費用、事務所の家賃や設備、証明書の手数料など

宅建業者は、お客様との取引で損害を与えたときに備えて、営業保証金を法務局に預ける(供託する)決まりです。

ただし、保証協会に加入して分担金を納めれば、供託しなくて済みます。

本店だけなら供託は1,000万円ですが、保証協会の分担金は60万円です。

そのため、多くの方は保証協会に加入して開業します。

埼玉県には、全国宅地建物取引業保証協会と、不動産保証協会の2つがあります。

分担金のほかにかかる入会金や年会費は協会ごとに違うので、それぞれに確かめてください。

免許を受けてから3か月以内に、保証の手続きを済ませて届け出ないと、県から催告を受け、その後も届け出なければ免許を取り消されることがあります。

免許通知が届いたら、早めに手続きを進めましょう。

免許をとったあとに必要なこと

事務所に備えるもの

営業を始めたら、事務所に次のものを備えます。

  • 宅地建物取引業者票(業者票)を、お客様から見える場所に掲げる
  • 報酬額の表を掲げる
  • 取引の帳簿を備え、事業年度の終わりから5年間保存する
  • 従業者名簿を備え、従業者には従業者証明書を持たせる

役員や事務所の所在地、専任の宅建士が変わったときは、30日以内に変更の届出が必要です。

5年ごとの更新

免許の有効期間は5年です。

続けて営業するには、有効期間が終わる日の90日前から30日前までに、更新の申請をします。

県から更新のお知らせは届きません。

期限を過ぎると免許は失効し、もう一度、新しく申請し直すことになります。

現場からの一言

不動産の仕事をしていると、勤めていた会社から独立して開業する方の話を耳にします。

つまずきやすいのは、専任の宅建士になる方の、前の勤め先での登録が残っているケースです。

退職のときに、前の会社に変更の届出をお願いしておくと、申請がスムーズに進みます。

八潮市・草加市で開業を考えている方へ

埼玉県知事免許の申請先は、さいたま市浦和区の埼玉県庁にある、都市整備部建築安全課の宅建業免許担当です。

窓口で申請するときは、事前に電話で予約が必要です。

南出行政書士事務所の代表は、八潮市の不動産会社で13年、売買・仲介の実務に携わってきました。

宅建業免許の申請書類の作成や、事務所の要件の確認、必要書類の集め方まで、不動産の現場を知る行政書士としてお手伝いします。

事務所の場所が決まる前でも、自宅で開業できるか、物件の間取りで事務所の要件を満たせるかといったご相談をお受けしています。

まとめ:開業の日から逆算して準備を

  • 不動産の売買・仲介を仕事にするには、宅建業免許が必要
  • 要件は、独立した事務所、常勤の代表者、専任の宅建士、欠格事由にあたらないことの4つ
  • 自宅でも開業できるが、住まいと事務所を分ける条件がある
  • 埼玉県の審査は約35日。そのあと保証協会への加入などが必要で、免許証を受け取るまで営業できない
  • 手数料は窓口33,000円、電子申請26,500円。保証協会の分担金は本店60万円
  • 免許は5年ごと。更新は有効期間が終わる日の90日前から30日前まで

宅建業の開業は、免許の申請だけでなく、会社の設立や事務所の準備、保証協会への加入まで、いくつもの手続きが続きます。

まずは開業したい時期を決め、そこから逆算して、事務所と専任の宅建士の目途をつけるところから始めてみてください。

宅建業免許の申請でお困りの方は、南出行政書士事務所にお気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。

代表 南出竜一

この記事を書いた人

南出 竜一行政書士・宅地建物取引士

南出行政書士事務所 代表。不動産の売買・賃貸の実務に13年携わり(売買200件以上)、八潮市を中心に、相続の手続きと相続した家・土地のご相談をお受けしています。行政書士登録 第26131489号(埼玉県行政書士会)。

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