相続した不動産はどうする?売却・賃貸・活用方法を分かりやすく解説

 

相続手続きが終わると、多くの方が次に悩まれるのが『相続した不動産をどうするか』という問題だと思います。

預貯金と違い、不動産はそのまま相続人で分けることが難しく、維持管理や固定資産税などの負担が生じます。

「遠方で片付ける時間がない」「兄弟でまだ話し合えてない」と、空き家のまま放置しているケースもあり、相続から数年経ってようやく動き始めるという方も多い印象です。

放置期間が長くなるほど売却や活用の選択肢が狭くなることがあります。

本記事では、相続した不動産の代表的な活用方法と、それぞれのメリット・デメリットについて解説しています。

相続不動産には4つの選択肢がある

相続した土地・建物は、大きく分けると以下4つの方法から選ぶ事になります。

・売却する

・賃貸に出す

・相続人が住む

・空き家として残す

それぞれに向いているケース等について、順番に解説していきます。

売却する

『相続人のうち誰も利用する予定がない』

『利用したいが他の相続人に代償金を払えない』

『相続税を預貯金から払いたくない』

上記のようなケースで選ばれる方法です。

売却を選ぶメリット・デメリット

以下のようなメリット・デメリットが挙げられます。

 

売却のメリット

・遺産分割を最も公平に行なえる

・維持費、管理ストレスが無くなる

・納税資金が確保できる

 

売却のデメリット

・思い出の実家が無くなってしまう

・譲渡所得税が発生する場合がある

・売却活動に労力がかかる

 

不動産の売却は、手放す寂しさや手続きの手間がある一方で、相続人間で財産を公平に分割できるため最も現実的な選択肢です。

まずは相場を調べる

まずは、不動産売買を得意とする地元の不動産会社に相談して相場を把握しましょう。

すでに売却意思が固まっている場合には、『不動産一括査定サイト』を利用するのも一つの手です。

『不動産一括査定サイト』は、よく分からずに操作していると、気づいたら一度に6社以上の不動産会社に問い合わせてしまうことがあるので注意が必要です。

評判の良さそうな3社程に依頼するのが良いでしょう。

 

一括査定サイトの活用方法などについては以下をご参照ください。

▶不動産売却一括査定サイトの活用方法と注意点はこちら

いつまでに現金化したいかを話し合う

相続税の納付を不動産の売却益から支払う場合など、明確なタイムリミットがあるときは、買い手が不動産会社の『買取』が現実的な選択肢になります。

現金化まで半年~1年ほど待てる余裕があるようでしたら、相場価格で売却できる『仲介』を検討します。

どの不動産会社に依頼するかを話し合う

『買取』の場合は、一番良い条件の会社に依頼すれば問題ありません。

『仲介』の場合は、最高値の査定額を提示する会社ではなく、最も信頼できると感じた会社を選ぶのが鉄則です。

手続きが終わるまで、相続人と不動産会社はパートナーとしてマメな連絡を取り合うことになります。

大切な資産を安心して任せられるパートナーを探すことが何より肝要です。

媒介契約を結ぶ

不動産会社に仲介を依頼する場合、売却活動の条件やルールを定めた『媒介契約』を書面で結びます。

媒介の種類は3つあります。

・一般媒介:複数の不動産会社に同時に依頼できる

・専任、専属専任媒介:依頼できるのは1社のみ

「この会社に任せたい」という会社が複数あれば一般媒介でも良いと思いますが、窓口を一本化して責任を持って活動してもらうため、多くのケースで『専任媒介』が選ばれています。

 

詳しくはこちら

『相続不動産の一般媒介・専任媒介、実際にはどう選ぶ?』

諸経費について

不動産売却には、『仲介手数料』、契約書に貼付する『印紙代』、土地として売却する際には『測量費』や『解体費』など、多い時には数百万円の諸経費がかかります。

代金の先払いをすると思っている方が多いですが、実務では多くのケースで売却後にお支払いいただきます。

厳密に言うと、1万円前後の印紙代は契約時にお支払いいただき、その他の費用は不動産を現金化したときに清算する流れになります。

※地域によっては違う慣習があるかもしれません。その際はご容赦ください。

譲渡所得税に注意

不動産を売却して『利益』が出た場合、譲渡所得税を支払う必要があります。

『利益』= 売却額 ー(諸経費+取得費)

・諸経費:仲介手数料や測量費、解体費など

・取得費:故人がその不動産を購入したときの代金など(当時の契約書等が無い場合、原則は売却価格の5%を取得費とみなします)

 

【計算例】

実家(土地)を2,000万円で売却。諸経費200万円かかった場合

利益=2,000万円ー(諸経費200万円+取得費)

故人が当該土地を1,800万円以上で購入し、当時の契約書がある場合は、所得税はかかりません。

契約書が無い場合、100万円(2,000万円*5%)を取得費とみなし、利益1,700万円に対して課税されます。

 

税率は、当該不動産の所有期間によって変わります。

故人が当該不動産を取得した日から数えて、『売却した年の1月1日時点で5年を超えているか』が基準です。

5年超なら約20%、5年以下なら約40%になります。

 

上記の例ですと、5年超なら約340万円、5年以下で約680万円です。

一定条件を満たせば、『空き家の3,000万円特別控除』という制度を利用することで所得税をゼロにできる場合もあります。

賃貸に出す(貸す)

『相続した不動産が一棟アパートや賃貸併用住宅等』

『将来、自分や子供がその実家に住む可能性がある』

『故人のオーナー業を引き継ぐ』

上記のようなケースで選ばれる方法です。

賃貸に出すメリット・デメリット

賃貸に出すことは、大家さんになるということです。

事業としてのリスクを理解しておく必要があります。

 

賃貸のメリット

・継続的な家賃収入が入る

・譲渡税、空き家リスクを回避できる

・思い出の実家を手放さずに済む

 

賃貸のデメリット

・最初にリフォーム費がかかる

・家賃収入分の確定申告が毎年必要

・賃貸中だと売却時に安くなる

 

すでに賃貸中の不動産を相続する場合は名義変更手続きのみで楽ですが、空き家を新たに貸し出すとなると、最初にリフォーム費用がかかることもあるため、慎重に判断しましょう。

賃貸の流れと注意点

実際に貸し出す場合、以下のような流れになります。

 

①相場の把握と収支のシミュレーション

まずは地元の不動産会社に、いくらで貸せそうかを相談しましょう。

その際に、リフォームの提案も合わせて依頼することで、具体的な収支のシミュレーションが可能になります。

 

②リフォームの検討

相場価格で賃貸するために、借り手がつく状態まで修繕を行います。

リフォーム費用を一切かけたくない場合は、DIY型の賃貸という方法もあります。

家賃は相場より安く設定することになる可能性が高いですが、現状のまま賃貸し、借主負担で内装をある程度自由に改装してもらう契約内容です。

 

③管理会社を選定する

入居後の貸主・借主間の窓口となる不動産管理会社を探します。

トラブルを直接対応することから、所有不動産の地元で実績のある不動産管理会社に相談するのがおすすめです。

地域によって異なりますが、管理手数料は概ね家賃の5%前後になります。

 

④入居者募集

基本的には、管理を依頼した会社が入居者を募集します。

入居審査が無事に通れば、賃貸借契約を締結して手続き完了です。

 

契約形態に気をつける

賃貸借契約には大きく、『普通借家契約』と『定期借家契約』があります。

 

比較ポイント 普通借家契約(一般的なアパートなど) 定期借家契約(貸し出す期間が決まっている契約)
契約の更新 あり(借りる側が希望すれば、原則としてずっと続く) なし(期間が来たら確実に終わる。※両者の合意があれば再契約は可能)
大家からの解約(立ち退き) ほぼ不可能(「自分が住みたい」等の理由だけでは弱く、立ち退き料が必要になることが多い) 契約期間の満了とともに確実に家が返ってくる(立ち退きトラブルが起きない)
契約期間の縛り 1年以上(通常は2年ごとの更新にするケースが多い) 制限なし(数ヶ月の短期から、10年以上の長期まで自由に設定可能)
手続きの厳格さ 口頭でも成立する(※実務ではもちろん契約書を作ります) 書面での契約が絶対条件(契約前に「更新がないこと」を書面で説明する義務がある)
家賃の相場 通常の相場通りに設定できる 借りる側のリスク(いずれ退去しなければならない)がある分、普通借家より安くなる傾向がある

 

普通借家契約では、高い家賃収入を得られる反面、簡単には貸主都合で解約することができないといったデメリットがあります。

もし、相続不動産を将来的に売却する事を検討されている場合は、定期借家契約をおすすめします。

相続人が住む

故人が配偶者と一緒に住んでいた場合等は、そのまま配偶者や同居親族が住み続けることが多いです。

配偶者や同居親族が自宅を相続する際に利用できる制度(小規模宅地等の特例)と、故人がお一人で住んでいた築古の戸建を相続する際に利用できる可能性がある制度(空き家の3,000万円特別控除)をご紹介します。

これらの制度を把握したうえで、ご自身の状況では『住む』『売る』のどちらがより良いかを検討するのが良いと思います。

相続税が劇的に安くなる特例

同居していた配偶者や親族の方が自宅を相続した際に利用できる特例があります。

一定の要件はありますが、該当すれば自宅の土地部分の評価額を8割下げることが可能です。

当該土地の価値が高い場合、この特例が利用できるかどうかで相続税額を数百万円単位で節税できるため、住むことの大きなメリットになり得ます。

空き家の3,000万円特別控除

この特例は、不動産を売却した際にかかる譲渡所得税に対して利用できるものです。

要件に合致していれば、不動産を売却して得た利益から3,000万円を差し引いて、譲渡所得税を数百万円単位で節税できます。

ただし、相続した実家が『戸建』『昭和56年以前に建てられたもの』『相続から3年以内』『相続発生時から誰も住んでいないこと』等、厳しい要件をクリアしている必要があります。

 

空き家の3,000万円特別控除を利用できる条件などについては、以下をご参照ください。

▶『空き家の3,000万円特別控除』の対象物件と注意点についてはこちら

空き家として残す

相続後、誰も住まないご実家がそのまま空き家になってしまうケースは非常に多いです。

理由は主に以下の3つです。

・遺品整理がまだ終わってない

・家族間での話し合いがまだされていない

・売却が困難な不動産を相続した

 

一時的に空き家になっている状態であれば問題ありません。

長期間に渡って放置される状態ですと、以下のような問題が発生する可能性があります。

 

①放置すると過料や税金6倍のペナルティ

空き家を長期間放置して、庭の草木の越境や害虫の発生などで近隣の方に迷惑をかけていると、自治体から状態を改善するよう勧告を受けることがあります。

この勧告にも対応できない場合、特定空家に指定される可能性があります。

指定されると、現在適用されている固定資産税の軽減措置が解除され、実質6倍の税金を払うことに。

また、指導に従わない場合は50万円以下の過料が科される可能性もあります。

 

②不安な場合は『空き家管理サービス』の検討を

事情により相続不動産の管理ができない場合は、地元の不動産会社等が行っている『空き家管理サービス』を利用することをおすすめします。

会社によって様々なプランがありますが、月一回の見まわりと郵便物回収、室内の通水・換気・簡易清掃などが主なサービス内容です。

30分ほどの作業で月額5,000円、60分で月額1万円ほどで依頼することができると思います。

 

③売却困難な戸建・土地を相続したら

立地条件等が悪く、通常の売却が難しい不動産でも、手放す方法は昔と比べて確実に増えています。

諦めて放置する前に、以下の3つの選択肢を検討しましょう。

 

手放す方法 特徴とメリット デメリットと注意点
空き家バンク・ジモティー インターネット上で欲しい人を直接探すことができる。(無料譲渡など) あくまでマッチングサービスであり、個人間での不動産取引はリスクが極めて高い。必ず間に不動産仲介業者を挟んで取引すること。
相続土地国庫帰属制度 一定の費用を支払うことで、要らない土地(農地など)を国に引き取ってもらえる制度。 建物の解体費、境界が不明な場合の測量費、残置物や草木・ゴミ等の撤去費が別途全額自己負担となる。
不動産会社への相談 丸投げで手続きを任せられる。訳あり物件でも積極的に買い取る専門業者が増えている。 一般の相場価格での売却は難しい。

 

【不動産業界の変化】

令和6年に法改正があり、低価格な不動産取引であっても不動産会社は報酬(仲介手数料)を30万円(税別)まで受け取れるようになりました。

以前は労力に見合わず敬遠されがちな低価格帯の不動産でしたが、積極的に取扱う会社が確実に増えています。

また、所謂訳あり物件を、仲介ではなく直接買取る不動産会社もあります。

相続不動産が農地などの土地ではなく建物が建っているのであれば、『相続土地国庫帰属制度』を利用する前に、不動産会社に相談することをおすすめします。

まとめ

ここまで、相続した不動産の4つの選択肢(売却・賃貸・住む・空き家)について解説してきました。

どの方法が最も良いのかは、相続人の方のご状況によって全く異なるものだと思います。

選択の失敗を防ぐには、早い段階で正確な情報を掴んでおくことが肝要です。

 

『親族でまだ話し合えていない』

『相続不動産がいくらで売れるのか、貸せるのか分からない』

という段階でもまったく問題ありません。

 

当事務所では、遺産分割協議書の作成から、その後の相続不動産の査定・売却・賃貸・空き家管理等のサポートまで、1つの窓口で一貫して承っております。

まずはご家族にとってどの選択肢が最も負担が少ないか、現状の整理から私がお手伝いいたします。

どうぞお気軽にご相談ください。

相続した不動産の売却を考えている方は、三共コスモスの「八潮市の不動産売却・無料査定」のページもあわせてご覧ください。

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